男子校・女子校という選択 中学受験

 

学力が上がりやすく性役割意識が固定化しにくい
男子と女子では、特に思春期において、発達段階に大きな差が開くこともわかっています。中学においては男性の性的な成熟は女性のそれに比べて約2年遅れているといわれています。平均すると、脳の厚さは、女性が11歳で最大になるのに比べて、男性の場合はそれよりも18カ月遅れる傾向があることもわかっています。5歳から18歳の男女の情報処理能カテストをすると、幼稚園では男女の差がないのに、思春期には女性のほうが速くて正確であるという差が生じ、18歳には再び男女の差がなくなることも知られています。
また一般に男子は空間認知能力に優れているが、女子は聴覚に優れており、その違いゆえ、注意関心を引きつけるためのアプローチも違うという指摘もあります。そのため男子は図解して覚えるのが得意で、女子は耳から開いて覚えるのが得意であるという傾向があると、ある脳科学者は指摘します。
教室の中でも違いは顕著です男子校・女子校の先生たちが指導上気をつけていることを比較すると、さらに違いが明確になります。「男子には大きな夢を持たせることが大事、女子には現実的な具体的目標を持たせることが大事」。「男子の場合は挑戦意欲を刺激することが大事、女子には安心感を与えることが大事」。「男子はスイッチが入らないといくらおしりを叩いても伸びない。女子はやらせればやらせるだけ伸びる」などです。
OECD(経済開発協力機構)が行う国際的な学力調査PISAにおいても男女の違いは明確です。世界的に見ても、「読解力」においては女子のほうが圧倒的に成績が良いのです。逆に「数学的リテラシー」においては、男子のほうが有意に成績が良いのです。
海外では男女別学教育の効果に関する学術的な研究が行われ、共学よりも男女別学のほうが学力が伸びやすいという結果がいくつも発表されています。
それだけではありません。男女別学校では、共学校に比べて、男女の性役割意識が固定化しにくい傾向があるという研究成果もあります。既存社会の中にある「男性らしさ」や「女性らしさ」に縛られることないということです。たとえば男性が芸術系に進んだり、女性が理系の大学に進んだりということにも抵抗が少ないというのです。また、たとえば男子校のクラブ活動で、誰かがおにぎりを握らなければならないとき、「女子、お願い!」なんてことはできません。全部自分たちでやることになります。たとえば女子校の文化祭では、ステージの大道具を用意するとき、工具を使って組み立てたり、重い物を運んだりということも、すべて女子だけでやらなければなりません。「男子、お願いー」なんてことはできません。
男子校・女子校においては、「男だから」「女だから」という理由で役割が振り分けられるということがあり得ないのです。
ここに紹介した情報は、男女別学校に関する数ある知見の中のほんの一部ですが、これだけでも、男子校・女子校という環境で学ぶことの意義が感じられるのではないでしょうか。いわゆる名門校に男子校・女子校が多い理由の一因ともいえるかもしれません。
しかし実は、男子校も女子校も減っています(右図)。現在、全国の高校の中で、男子のみが在籍する学校は約2・5%、女子のみが在籍する学校は約6・5%しかありません。さまざまな事情で共学化する学校が多いのは時代の流れなのかもしれませんが、今一度、男子校・女子校という選択の良さを見直してみても良いのではないでしょうか。

●男子校・友子校の弱点とその補い方
異性の目を気にせずにのびのびできたり、「男らしさ」とか「女らしさ」にとらわれず自分らしくいられたりということが、男子校・女子校に共通のメリットです。
一方で、異性について無知なままというのが共通の弱点です。特に大学に入りたてのころは異性との適切な距離感がつかめず、苦労するということをよく聞きます。
ただし、男子校・女子校に通ったからといって、彼氏や彼女ができないわけではありません。学校の外ではいくらでも異性の友達を作る機会はあるはずです。地域活動やボランティア活動に参加するのもいいでしょう。塾が異性とのコミュニケーションの場になることもあるでしょう。
男子校・女子校に通っている生徒ほど、他校の異性の生徒と交流する機会を意識的にもつべきです。そのためには保護者の理解も必要です。

●男女別学校と共学校のおいしいとこどりという選択
男女別学校と共学校のおいしいとこどりができる学校があります。
たとえば神奈川の桐蔭。中等教育学校と男子部には男子しか在籍していません。女子部にはもちろん女子しか在籍していません。しかし、高3になると進路によって男子と女子が合同で授業を行います。同じく神奈川の桐光は、一般的には共学という扱いでありながら、男子と女子の校舎がわかれています。ただし、図書館や食堂などは共有です。男女いっしょに活動するクラブもあります。東京の國學院久我山も同様のしくみです。同じく東京のかえつ有明の場合は、校舎も男女いっしょ、クラブや行事は男女共同、ただし授業は男女別々という仕組み。高2から進路別の男女混合クラス編成になります。
これらの学校は、男女別学校の良さと、共学校の良さの両方を享受できる、第3の選択といえるでしょう。

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