特別支援学級について 1/2

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・はじめに

国連の障害者権利委員会は2022年、日本が同条約に基づく対応を実施しているかどうかを確かめる「対日審査」を初めて実施し、9月9日に審査結果として報告書を公表しました。 報告書では、障害児が特別支援学校や特別支援学級に「分離」されることで通常の教育を受けにくくなっているとして懸念を表明し、障害児を分離する現状の特別支援教育をやめるよう日本政府に強く求めました。 また、文部科学省が2022年4月に全国の教育委員会に発出した通知で、特別支援学級に在籍する児童生徒が通常の学級で学ぶ時間を週の半分以内にとどめるよう求めた点も危惧し、通知の撤回を要請していました。
これらに対し、文部科学省は撤回しない方針を示しましたが、日本と海外で特別支援教育についての在り方はどう違うのでしょうか。今回は、各国の特別支援教育の内容や特徴について書いていきます。


・日本

障害のある子どもの学びの場として、特別支援学校、小・中学校の特別支援学級、通級による指導があります。
特別支援学校とは、障害の程度が比較的重い子供を対象として教育を行う学校で、公立特別支援学校の1学級の標準は6人(重複障害の場合3人)です。
特別支援学級とは、小・中学校に障害の種別ごとに置かれる学級(標準は8人)です。知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の学級があります。
通級による指導とは、小・中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対して、ほとんどの授業を通常の学級で行いながら、週に1限~8限(LD、ADHDは月1限から週8限)程度、障害に基づく様々な困難の改善・克服に必要な指導を行う教育形態です。対象とする障害種は言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、LD、ADHD、肢体不自由及び病弱・身体虚弱があります。
特別支援教育は、発達障害のある子供も含めて、障害により特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものとしています。特別な教育課程、少人数の学級編制、特別な配慮の下に作成された教科書、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備などを活用した指導や支援が行われています。
LD・ADHDについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。


・アメリカ

障害のある子どもに対しては、法律によって無償で適切な教育を行う場合、「最少制約環境」の条項に基づき、可能な限り障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を行うことが目指されています。このため、障害等のある子どもの95%が、通常の学校に就学しています。残りの5%の子ども達は、特別な学校、寄宿施設、家庭、病院、矯正施設等で教育を受けています。アメリカでは、個別教育計画(IEP)を策定する時に、子どもが週に何時間、通常の学級で過ごし、障害に応じた特別な指導を何時間受けるのかが明記されます。
障害のある個人の教育法(IDEA)の施行規則には、「各々の公的機関は、特別な教育及び関連サービスに対する障害のある子どものニーズを満たすために、「代替の教育の場の連続体」が活用できることを保障しなければならない」と規定しています。
IDEAでは、「通常の教育カリキュラムへのアクセス」を規定し、「通常の学級において通常教育の教育課程にアクセスすることを保障する」ことを求めています。このため、障害等のある子どもが、通常の学級で障害のない子どもと共に学習を行わない場合には、個別教育計画(IEP)にその理由を記さなければいけません。


・フィンランド

基礎教育法によると、特別な支援は通常の学級における支援から特別学級や特別学校での特別支援まで、段階的に位置付いています。特別な支援を受ける子どもは、基本的には全国教育課程基準に従います。しかし、それが困難な場合には、個別の教育と特別なカリキュラムが編成されます。
具体的には、特別な支援を受ける子どもの51%が「全教科を履修」、12%は「1教科において教育課程の個別化」、13%が「2~3教科において教育課程の個別化」、17%は「4教科以上において教育課程を個別化」しています。また、重度の障害のある子ども(特別な支援を受ける子どもの5%)に対しては、彼らの機能スキルに応じた教育が行われています。


次回に続きます。


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